経営事項審査(経審)について
公共工事を請け負うためには、建設業許可を取得しているだけでなく、毎年「経営事項審査」(通称:経審)を受ける必要があります。経審は、建設業者の経営能力や工事実績を客観的に評価し、公共工事を行う資格を審査する仕組みです。ここでは、
経営事項審査とは?
経営事項審査とは、国や地方自治体などの公共工事を受注する建設業者を対象とした審査です。これは建設業法に基づき実施され、業者の経営状況や工事能力を総合的に評価することで、公平性と信頼性を確保する目的があります。
経審を受けることで、業者ごとに「総合評定値(P点)」が算出され、この点数が入札の資格要件や評価に影響を与えます。公共工事を目指す建設業者にとって、経審は避けて通れない重要な手続きです。
経審の主な対象者
- 建設業許可を取得していることが条件です。
- 長崎県内で公共工事を請け負いたい業者が対象となります。
- 審査結果は、申請した都道府県(例:長崎県)の建設業担当部署から通知されます。
経審の評点構成
経審の評点(総合評定値)は、以下の5つの要素から構成されています:
- 経営規模(X点)
- 工事実績や売上高など、企業の規模を評価します。
- 技術力(Z点)
- 技術者の資格や工事成績など、施工能力を評価します。
- 経営状況(Y点)
- 財務内容(自己資本比率や負債比率など)を評価します。
- その他加点要素(W点)
- ISO認証の取得や若手技術者の雇用状況、地域貢献度などが該当します。
- 社会性(S点)
- 健康保険や厚生年金の加入状況、労務管理の適正さを評価します。
これらを総合的に加味し、総合評定値(P点)が算出されます。このP点が高いほど、公共工事の入札で有利になる仕組みです。
長崎県で経審を受けるメリット
1. 公共工事の入札に参加できる
経審の最大のメリットは、公共工事の入札資格を得られることです。公共工事は、安定的な収益を得られる魅力的な仕事であり、自治体や国が発注者となるため、倒産リスクが低く、確実に支払いを受けられる点が大きな利点です。
公共工事の特徴
- 継続性:安定的に仕事を確保できる可能性が高い。
- 信頼性:発注者が国や地方自治体のため、支払いリスクが少ない。
- 規模感:比較的大きな工事が多く、受注額も高額になりやすい。
経審を受けることで、これらの安定した仕事を得るチャンスが生まれ、事業基盤の強化に繋がります。
2. 企業の信頼性を高める
経審を受けた企業は、客観的に評価された「評点」を持つため、企業の信頼性が大きく向上します。特に以下の点で効果的です。
- 民間取引でのアピール
民間工事を行う場合でも、「経審で高評価を得ている企業」として取引先にアピールできます。評点が高ければ、経営が安定しており、信頼できる業者として認識されるでしょう。 - 金融機関への信用力向上
銀行や金融機関に対して、経営状況の健全性を示す材料となります。融資を受ける際や資金調達時にも有利に働きます。
3. 自社の経営状況を客観的に把握できる
経審では、財務状況や経営能力、技術力などを評価されます。この審査を通じて、自社の現状を客観的に把握し、課題を明確にすることが可能です。
評価項目例
- 経営状況(Y評点):自己資本比率や売上高経常利益率など財務指標を評価。
- 技術力(Z評点):保有する資格や技術者の数を評価。
- 社会性(W評点):法令遵守状況や地域貢献活動の実績を評価。
これらの評価を分析することで、自社の強みと弱みを明確化し、改善すべき点を見出せます。また、評点向上に向けた戦略を立てることで、企業成長に繋がります。
4. 評点を高めることで競争力が向上する
経審の評点は、公共工事の入札で重要な基準となるため、高得点を取得することで競争力が向上します。特に、以下の点が評価されることで総合評点(P点)の向上が期待できます。
- 資格取得や技術者の増員
建設業に必要な資格を持つ人材を増やすことで、技術力(Z評点)が向上します。 - 財務状況の健全化
自己資本比率を高めたり、利益率を改善することで経営状況(Y評点)が良くなります。 - 社会性のアピール
地域貢献や法令遵守、環境への取り組みを強化することで、社会性(W評点)がアップします。
これらの取り組みを行い、総合評点を高めることで、競争の激しい入札で有利な立場を築けます。
5. 地域社会への貢献を評価される
経審の社会性評価では、地域社会への貢献度が審査項目として含まれます。例えば、災害時の復旧活動や地域イベントの協賛などが評価対象となります。これにより、地域社会からの信頼を得ると同時に、企業のイメージアップにも繋がります。
6. 事業承継やM&Aに役立つ
経審を受け、企業の健全性や実績を数値化しておくことは、事業承継やM&A(企業買収・合併)を検討する際にも有効です。客観的なデータがあることで、買い手や次の経営者に対して説得力のある説明が可能となり、円滑な交渉が期待できます。
7. 企業の競争優位性を維持できる
公共工事を受注しない場合でも、経審の評点を取得しておくことで、他の建設業者との差別化が図れます。競争が激化する中で、評点が高いことは「優れた企業」として選ばれる理由の一つになるため、競争優位性を維持する重要な手段となります。
8. 社内の士気向上
経審の準備を進める中で、資格取得や業務改善、経営状況の健全化に取り組むことは、社員のモチベーション向上に繋がります。特に、技術者の資格取得支援や評価制度の導入は、働きやすい環境づくりにも寄与し、人材定着率の向上に役立ちます。
経審を受ける際の注意点
メリットが多い経審ですが、以下の点に注意が必要です:
- 評点向上のための準備が必要:短期間で評点を上げるのは難しいため、長期的な戦略が求められます。
- 書類不備のリスク:提出書類が多岐にわたるため、専門家のサポートを活用するとスムーズです。
経審申請に必要な書類
経審申請では、以下のような書類を準備する必要があります:
- 建設業許可証明書
- 工事実績に関する資料(契約書、請求書など)
- 財務諸表(直近2期分)
- 経営業務の管理責任者や専任技術者に関する証明書
- 社会保険加入証明書
- その他、長崎県が指定する書類
書類の種類や詳細は、業者の規模や実績に応じて異なる場合があります。当事務所では、個別の状況に合わせた必要書類の確認と取得をサポートしています。
当事務所のサポート内容
長崎県佐世保市を拠点とする当事務所では、建設業許可申請や経営事項審査の手続きを専門的にサポートしています。特に以下のサービスに力を入れています:
- 事前相談と評点シミュレーション
- お客様の状況に応じた評点をシミュレーションし、入札で有利になるためのアドバイスを提供します。
- 書類作成・申請代行
- 煩雑な書類作成を代行し、役所への提出も責任を持って対応します。
- 財務内容の見直しサポート
- 評点を高めるための財務内容の整理や改善提案を行います。
- 経審後のフォローアップ
- 経審結果に基づき、次回に向けた改善策の提案や書類保管のサポートを実施します。
当事務所の強み
- 地域密着型のサポート
長崎県内、特に佐世保市の公共工事入札に関する豊富な実績があります。 - スピーディな対応
書類準備や審査対応を迅速かつ丁寧に行い、申請をスムーズに進めます。 - 専門知識と実績
建設業許可や経営事項審査に特化した行政書士が対応しますので、安心してお任せください。
経営事項審査を通じて、公共工事に挑戦し、事業をさらに発展させるお手伝いを全力でいたします!
まとめ
経営事項審査を受けることは、公共工事を目指す企業だけでなく、民間工事主体の企業にとっても多くのメリットがあります。事業の信頼性向上、競争力の強化、経営状況の可視化など、経審を通じて得られる効果は多岐にわたります。当事務所では、経審の申請手続きから評点向上のアドバイスまで一貫してサポートしております。長崎県や佐世保市で経審を検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください!